TRIPS協定 第七十条
既存の対象の保護
条文本文
1 この協定は、加盟国がこの協定を適用する日の前に行われた行為に関し、当該加盟国について義務を生じさせるものではない。
2 この協定に別段の定めがある場合を除くほか、この協定は、加盟国のこの協定を適用する日における既存の保護の対象であって、当該加盟国において同日に保護されており又はこの協定に基づく保護の基準を満たし若しくは後に満たすようになるものに関し、当該加盟国について義務を生じさせる。この2から4までの規定について、既存の著作物についての著作権に関する義務は、千九百七十一年のベルヌ条約第十八条の規定に基づいてのみ決定されるものとし、また、既存のレコードに関するレコード製作者及び実演家の権利に関する義務は、第十四条6の規定に従って準用される同条約第十八条の規定に基づいてのみ決定される。
3 加盟国がこの協定を適用する日に公共のものとなっている保護の対象については、保護を復活する義務を負わない。
4 保護の対象を含む特定の物に関する行為がこの協定に合致する加盟国の国内法令に基づき初めて侵害行為となる場合であって、当該行為が世界貿易機関協定を当該加盟国が受諾する日の前に開始されたとき又は当該行為について当該日の前に相当な投資が行われたときは、加盟国は、この協定を適用する日の後継続して行われる当該行為に関し権利者が利用し得る救済措置の制限を定めることができる。ただし、その場合には、加盟国は、少なくとも、衡平な報酬の支払を定める。
5 加盟国は、この協定を適用する日の前に購入された著作物の原作品又は複製物については、第十一条及び第十四条4の規定を適用する義務を負わない。
6 加盟国は、この協定が知られる日の前に使用の許諾が政府によって与えられた場合には、権利者の許諾を得ない使用について、第三十一条の規定又は特許権が技術分野について差別することなく享受されるとの第二十七条1の要件を適用することを要求されない。
7 加盟国において登録が保護の条件となっている知的所有権の場合には、当該加盟国がこの協定を適用する日に係属中の保護の出願については、この協定に規定する一層広範な保護を請求するために補正をすることを認める。当該補正には、新たな事項を含まない。
8 加盟国が世界貿易機関協定の効力発生の日に第二十七条の規定に基づく義務に応じた医薬品及び農業用の化学品の特許の保護を認めていない場合には、当該加盟国は、
(a) 第六部の規定にかかわらず、同協定の効力発生の日から、医薬品及び農業用の化学品の発明の特許出願をすることができるよう措置をとる。
(b) (a)の特許出願について、出願日又は、優先権が利用可能であり、かつ、主張される場合には、当該優先権に係る出願の日にこの協定に定める特許の対象に関する基準を適用していたものとして、この協定を適用する日に当該基準を適用する。
(c) (a)の特許出願であって、(b)の基準を満たすものについて、特許の付与の日以後、第三十三条の規定に従い(a)の特許出願の出願日から計算した特許期間の残りの期間この協定に従って特許の保護を与える。
9 加盟国において、ある物質が8(a)の規定に従ってされた特許出願の対象である場合には、第六部の規定にかかわらず、当該加盟国において販売の承認を得た日から五年間又は当該日から当該加盟国において物質特許が与えられ若しくは拒絶されるまでの期間のいずれか短い期間排他的販売権を認める。ただし、世界貿易機関協定が効力を生じた後他の加盟国においてその物質について特許出願がされ、特許が与えられ及び販売の承認が得られている場合に限る。