TRIPS協定
2017年1月23日発効の改正を反映
外務省掲載の日本語訳です。附属書及びその付録を含みます。
第一部 一般規定及び基本原則
- 第一条(義務の性質及び範囲) 協定を実施する義務、その実施方法を選ぶ自由、保護の対象と利益を受ける者を定めています。
- 第二条(知的所有権に関する条約) パリ条約の一定の規定を遵守する義務と、既存の知的所有権条約との関係を定めています。
- 第三条(内国民待遇) 知的所有権の保護について、他の加盟国の国民を自国民より不利に扱わない原則と例外を定めています。
- 第四条(最恵国待遇) 他国民に与えた知的所有権上の利益を、原則として全加盟国の国民にも与えることを定めています。
- 第五条(保護の取得又は維持に関する多数国間協定) WIPOの保護の取得・維持に関する多数国間協定の手続を、内国民待遇・最恵国待遇の適用外としています。
- 第六条(消尽) 内国民待遇・最恵国待遇を除き、権利の消尽の問題を協定上の紛争解決で扱わないことを定めています。
- 第七条(目的) 知的所有権の保護・行使が、技術革新、技術の移転・普及、社会的福祉や権利義務の均衡に資するとしています。
- 第八条(原則) 協定に適合する範囲で、公衆の健康・公共の利益の保護や権利濫用の防止措置を認めています。
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第一節 著作権及び関連する権利
- 第九条(ベルヌ条約との関係) ベルヌ条約の遵守と著作者人格権の扱い、著作権が表現を保護し思想自体には及ばないことを定めています。
- 第十条(コンピュータ・プログラム及びデータの編集物) プログラムを文学的著作物として保護し、創作性のあるデータ等の編集物を保護することを定めています。
- 第十一条(貸与権) プログラムや映画の著作物の商業的な貸与を許諾・禁止する権利と、その例外を定めています。
- 第十二条(保護期間) 生存期間に基づかず計算する著作権の保護期間について、対象と起算点・最低期間を定めています。
- 第十三条(制限及び例外) 著作権の制限・例外を認める条件として、通常の利用や権利者の正当な利益への配慮を求めています。
- 第十四条(実演家、レコード(録音物)製作者及び放送機関の保護) 実演家、レコード製作者、放送機関の権利と、その保護期間・制限などを定めています。
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第二節 商標
- 第十五条(保護の対象) 商標として保護できる標識と、使用・商品やサービスの性質などに関する登録の条件を定めています。
- 第十六条(与えられる権利) 登録商標の権利者が混同を招く使用を防ぐ権利と、広く知られた商標の保護を定めています。
- 第十七条(例外) 商標権者と第三者の正当な利益を考慮し、商標権に限定的な例外を設けることを認めています。
- 第十八条(保護期間) 商標の登録・更新による存続期間を少なくとも7年とし、回数の制限なく更新できるとしています。
- 第十九条(要件としての使用) 商標の不使用を理由とする取消しの条件と、他者による使用を登録維持上の使用と認める場合を定めています。
- 第二十条(その他の要件) 他の商標との併用などの特別な要件によって、商標の商業上の使用を不当に妨げることを禁じています。
- 第二十一条(使用許諾及び譲渡) 商標の強制使用許諾を禁じ、登録商標を事業の移転と切り離して譲渡できることなどを定めています。
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第三節 地理的表示
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第四節 意匠
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第五節 特許
- 第二十七条(特許の対象) 原則として全技術分野の発明を特許の対象とし、特許要件・差別の禁止・除外できる対象を定めています。
- 第二十八条(与えられる権利) 物・方法の特許が与える排他的権利と、特許の譲渡や実施許諾を行う権利を定めています。
- 第二十九条(特許出願人に関する条件) 特許出願での明確かつ十分な発明の開示と、最良の形態や外国出願情報を求め得ることを定めています。
- 第三十条(与えられる権利の例外) 特許の通常の実施や権利者の正当な利益を不当に害さない範囲で、限定的な権利の例外を認めています。
- 第三十一条(特許権者の許諾を得ていない他の使用) 強制実施許諾や政府使用など、特許権者の許諾を得ずに発明を使用する場合の条件を定めています。
- 第三十一条の二 医薬品を輸入する資格のある加盟国への輸出のため、強制実施許諾の国内供給要件等の特例を定めています。
- 第三十二条(取消し又は消滅) 特許を取り消し、又は特許権を消滅させる決定について、司法上の審査の機会を求めています。
- 第三十三条(保護期間) 特許の保護期間が、出願日から20年を経過する前に終了しないことを定めています。
- 第三十四条(方法の特許の立証責任) 物を得る方法の特許の侵害訴訟で、一定の場合に被申立人側へ立証責任を転換することを定めています。
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第六節 集積回路の回路配置
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第七節 開示されていない情報の保護
第二部 知的所有権の取得可能性、範囲及び使用に関する基準/第八節 契約による実施許諾等における反競争的行為の規制
第三部 知的所有権の行使/第一節 一般的義務
第三部 知的所有権の行使/第二節 民事上及び行政上の手続及び救済措置
- 第四十二条(公正かつ公平な手続) 権利行使の民事司法手続で、通知、代理人、主張・証拠の提出、秘密情報の保護などを保障しています。
- 第四十三条(証拠) 相手方が保有する証拠の提示命令と、情報提供を拒む場合などの判断の方法を定めています。
- 第四十四条(差止命令) 司法当局による侵害の差止命令の権限と、一定の場合の例外・代替的な救済を定めています。
- 第四十五条(損害賠償) 侵害者に損害賠償や費用の支払を命じる司法当局の権限と、その条件を定めています。
- 第四十六条(他の救済措置) 侵害物品やその生産に用いた材料・道具を流通経路から排除するなどの救済措置を定めています。
- 第四十七条(情報に関する権利) 侵害者に流通関係者や流通経路の情報を権利者へ知らせるよう命じる制度を、加盟国が設け得るとしています。
- 第四十八条(被申立人に対する賠償) 権利行使手続の濫用で被害を受けた相手方への賠償と、公的機関等の責任免除の条件を定めています。
- 第四十九条(行政上の手続) 行政手続で民事上の救済を命じる場合にも、司法手続と実質的に同等の原則を適用するとしています。
第三部 知的所有権の行使/第三節 暫定措置
第三部 知的所有権の行使/第四節 国境措置に関する特別の要件(注)
- 第三部第四節の注 関税同盟内で国境管理を実質的に廃止した場合、その国境で水際措置の適用を求めないとしています。
- 第五十一条(税関当局による物品の解放の停止) 不正商標商品や著作権侵害物品の輸入について、権利者が税関での解放停止を申し立てる制度を求めています。
- 第五十二条(申立て) 税関での解放停止の申立てに必要な証拠・物品の記述と、申立てに対する通知を定めています。
- 第五十三条(担保又は同等の保証) 水際措置の濫用防止のため申立人に求める担保と、輸入者側の担保による解放の条件を定めています。
- 第五十四条(物品の解放の停止の通知) 税関による物品の解放停止について、輸入者と申立人が速やかに通知を受けることを定めています。
- 第五十五条(物品の解放の停止の期間) 物品の解放停止を継続できる期間と、本案手続の開始・暫定措置・再審査との関係を定めています。
- 第五十六条(物品の輸入者及び所有者に対する賠償) 不法な留置などで損害を受けた輸入者・荷受人・所有者に対し、申立人へ賠償を命じる権限を定めています。
- 第五十七条(点検及び情報に関する権利) 留置された物品を権利者・輸入者が点検する機会と、関係者等の情報提供を認める条件を定めています。
- 第五十八条(職権による行為) 税関等が職権で物品の解放を停止する制度を設ける場合の、通知・情報提供・責任などを定めています。
- 第五十九条(救済措置) 水際措置での侵害物品の廃棄・処分と、不正商標商品の積戻しなどを制限することを定めています。
- 第六十条(少量の輸入) 手荷物や小型貨物に含まれる少量の非商業的な物品を、水際措置の対象から除外できるとしています。
第三部 知的所有権の行使/第五節 刑事上の手続
第四部 知的所有権の取得及び維持並びにこれらに関連する当事者間手続
第五部 紛争の防止及び解決
第六部 経過措置
第七部 制度上の措置及び最終規定
- 第六十八条(知的所有権の貿易関連の側面に関する理事会) TRIPS理事会による協定実施の監視、協議の場の提供、紛争解決への支援などを定めています。
- 第六十九条(国際協力) 侵害物品の国際貿易を排除するため、連絡先の設置や税関当局間の情報交換・協力を定めています。
- 第七十条(既存の対象の保護) 協定の適用開始時に存在する保護対象や出願等の扱いと、一定の医薬品等に関する措置を定めています。
- 第七十一条(検討及び改正) TRIPS理事会による協定実施の定期的な検討と、一定の改正を行う仕組みを定めています。
- 第七十二条(留保) 協定の規定に留保を付けるには、他のすべての加盟国の同意が必要であると定めています。
- 第七十三条(安全保障のための例外) 安全保障上の重大な利益に関する情報の不開示や措置など、協定の安全保障上の例外を定めています。