実用新案法
令和8年5月21日施行
第一章 総則
- 第一条(目的) 実用新案法は、物品の形状・構造・組合せに係る考案の保護と利用を図り、考案を奨励して産業の発達に寄与することを目的とする。
- 第二条(定義) 『考案』は自然法則を利用した技術的思想の創作であり、『登録実用新案』は実用新案登録を受けた考案をいう。
- 第二条の二(手続の補正) 実用新案登録に関する手続をした者は、事件が特許庁に係属している間は補正できる。
- 第二条の三(手続の却下) 特許庁長官は、第2条の2第4項の方式等の補正命令、第6条の2の出願の基礎的要件についての補正命令、又は第14条の3の訂正…
- 第二条の四(法人でない社団等の手続をする能力) 法人でない社団又は財団でも、代表者又は管理人が定められていれば、団体自身の名で、実用新案技術評価の請求、実用新案登録無効…
- 第二条の五(特許法の準用) 実用新案法の期間・期日には、特許法第3条の期間計算と第5条の指定期間延長・期日変更等を準用する。
第二章 実用新案登録及び実用新案登録出願
- 第三条(実用新案登録の要件) 実用新案登録を受けるには、産業上利用できる、物品の形状・構造・組合せに係る考案であることが必要である。
- 第三条の二(実用新案登録の要件) 後の実用新案登録出願の考案が、その出願日より前にされた他の実用新案登録出願又は特許出願の当初の明細書・請求の範囲・図面に…
- 第四条(実用新案登録を受けることができない考案) 公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれのある考案は、第3条第1項の要件を満たしても実用新案登録を受けることがで…
- 第四条の二(仮通常実施権) 実用新案登録を受ける権利を有する者は、その権利から取得する予定の実用新案権について、他人に仮通常実施権を許諾できる。
- 第五条(実用新案登録出願) 実用新案登録を受けようとする者は、出願人の氏名又は名称及び住所又は居所、考案者の氏名及び住所又は居所を記載した願書を特許…
- 第六条(実用新案登録出願) 二つ以上の考案でも、所定の技術的関係によって単一性を満たす一群の考案であれば、一つの願書で実用新案登録出願できる。
- 第六条の二(補正命令) 特許庁長官は、出願が基礎的要件を欠く場合、相当の期間を指定して明細書・実用新案登録請求の範囲・図面の補正を命ずることがで…
- 第七条(先願) 同一の考案について異なる日に複数の実用新案登録出願がされたときは、最も先の出願人だけが登録を受けられる。
- 第八条(実用新案登録出願等に基づく優先権主張) 自己が登録又は特許を受ける権利を持つ先の実用新案登録出願・特許出願の当初の明細書・請求の範囲・図面に記載された考案を基礎…
- 第九条(先の出願の取下げ等) 国内優先権の基礎とした先の出願は、先の出願日から1年4月が経過すると取り下げたものとみなされる。
- 第十条(出願の変更) 特許出願又は意匠登録出願を実用新案登録出願に変更できる。
- 第十一条(特許法の準用) 実用新案登録出願にも、特許法第30条の新規性喪失の例外、第38条の共同出願、第43条〜第44条のパリ優先権等と分割の規定…
第三章 実用新案技術評価
第四章 実用新案権
- 第十四条(実用新案権の設定の登録) 実用新案権は設定登録により発生する。
- 第十四条の二(明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正) 登録後の明細書・請求の範囲・図面について、減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明、請求項の引用関係の解消を目的とする訂正は…
- 第十四条の三(訂正に係る補正命令) 減縮等を目的とする第14条の2第1項の訂正で、訂正後の明細書等が基礎的要件を欠くときは、特許庁長官は相当の期間を指定して…
- 第十五条(存続期間) 実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から10年で満了する。
- 第十六条(実用新案権の効力) 実用新案権者は、業として登録実用新案を実施する権利を専有する。
- 第十七条(他人の登録実用新案等との関係) 自己の出願日より前の出願に係る他人の登録実用新案・特許発明・登録意匠又はこれに類似する意匠を利用する考案は、自己の実用新…
- 第十七条の二(実用新案権の移転の特例) 登録を受ける権利を持たない者による冒認出願又は共同出願違反に基づいて登録された場合、真に登録を受ける権利を持つ者は、現在…
- 第十八条(専用実施権) 実用新案権者は専用実施権を設定できる。
- 第十九条(通常実施権) 実用新案権者は他人に通常実施権を許諾できる。
- 第二十条(無効審判の請求登録前の実施による通常実施権) 同じ技術について特許が無効とされ、実用新案権が残る場合、又は無効後に正当な権利者へ実用新案登録がされる場合に、元の特許権…
- 第二十一条(不実施の場合の通常実施権の設定の裁定) 登録実用新案が日本国内で継続して3年以上適当に実施されていないときは、実施しようとする者は権利者又は専用実施権者に通常実…
- 第二十二条(自己の登録実用新案の実施をするための通常実施権の設定の裁定) 自己の登録実用新案を実施すると第17条の先願の他人の権利により制約される場合、実用新案権者又は専用実施権者は、その他人に…
- 第二十三条(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定) 登録実用新案の実施が公共の利益のため特に必要なとき、実施しようとする者は権利者又は専用実施権者に通常実施権の許諾を協議す…
- 第二十四条(通常実施権の移転等) 通常実施権は、裁定による所定のものを除き、実施事業とともに移す場合、実用新案権者の承諾がある場合、又は相続等の一般承継の…
- 第二十五条(質権) 実用新案権、専用実施権又は通常実施権を質権の目的とした場合も、別段の契約がなければ、質権者は登録実用新案を実施できない。
- 第二十六条(特許法の準用) 実用新案権にも、試験・研究の実施、単に国内を通過する船舶等、出願時から国内にある物に効力が及ばない規定を適用する。
- 第二十七条(差止請求権) 実用新案権者又は専用実施権者は、侵害する者又は侵害のおそれがある者に対し、侵害の停止又は予防を請求できる。
- 第二十八条(侵害とみなす行為) 登録実用新案に係る物品の製造にだけ用いる物を、業として生産・譲渡・貸渡し・輸入し、又は譲渡・貸渡しを申し出る行為は、侵害…
- 第二十九条(損害の額の推定等) 故意又は過失による侵害で物品が譲渡された場合、権利者等は、侵害がなければ得られた単位数量当たりの利益に、自己の実施能力内…
- 第二十九条の二(実用新案技術評価書の提示) 実用新案権者又は専用実施権者は、対象の登録実用新案の技術評価書を提示して警告した後でなければ、侵害者又は侵害のおそれがあ…
- 第二十九条の三(実用新案権者等の責任) 実用新案権者又は専用実施権者が権利行使・警告をした後、その登録の無効審決が確定した場合には、それによって相手方に与えた損…
- 第三十条(特許法の準用) 実用新案権・専用実施権の侵害訴訟には、特許法の具体的態様の明示、無効理由がある権利の行使制限、確定判決後の主張制限、書類…
- 第三十一条(登録料) 設定登録を受ける者又は実用新案権者は、設定登録日から存続期間満了までの各年について、基本額に請求項数に応じた額を加えた登…
- 第三十二条(登録料の納付期限) 第1〜3年の登録料は、実用新案登録出願と同時に3年分を一括して納める。
- 第三十二条の二(登録料の減免又は猶予) 登録料を納めるべき者が考案者本人又はその相続人で、貧困により納付資力がないと認められる場合、特許庁長官は政令に従い、登録…
- 第三十三条(登録料の追納) 第4年以降の登録料又は猶予後の登録料を期限内に納められなかった場合は、その期限後6月以内に追納できる。
- 第三十三条の二(登録料の追納による実用新案権の回復) 追納期間を過ぎたため消滅又は初めから不存在とみなされた権利の元の権利者は、納付できるようになった日から2月以内で、かつ6…
- 第三十三条の三(回復した実用新案権の効力の制限) 登録料の追納で権利が回復しても、通常の6月の追納期間が過ぎてから回復登録までの間に、輸入し、又は国内で製造・取得した登録…
- 第三十四条(既納の登録料の返還) 納付した者が返還を請求できる登録料は、過誤納、出願却下処分が確定した場合の納付分、無効審決の確定年の翌年以後の分、及び存…
- 第三十六条(特許法の準用) 登録料には特許法第110条を準用する。
第五章 審判
- 第三十七条(実用新案登録無効審判) 登録の無効は、登録前の新規事項追加補正、外国人の権利享有・新規性・進歩性・拡大先願・公序良俗・先願・共同出願の所定要件違…
- 第三十八条(審判請求の方式) 無効審判を請求する者は、当事者・代理人の氏名又は名称と住所等、審判事件の表示、請求の趣旨及び理由を記載した請求書を特許庁…
- 第三十八条の二(審判請求書の補正) 審判請求書の補正は、原則として要旨を変更できない。
- 第三十九条(答弁書の提出等) 審判長は請求書の副本を被請求人へ送達し、相当の答弁期間を指定しなければならない。
- 第三十九条の二(審判の請求の取下げ) 審判請求は審決確定まで取り下げられるが、最初の答弁書が提出された後は、原則として相手方の承諾を要する。
- 第四十条(訴訟との関係) 審判で必要と認める場合は、他の審判の確定又は訴訟の完結まで手続を中止できる。
- 第四十一条(特許法の準用) 実用新案の無効審判には、特許法の無効審決の効果、共同審判、方式補正・不適法手続の却下、審判官の合議・除斥忌避、審理・参加…
第六章 再審及び訴訟
- 第四十二条(再審の請求) 確定審決に対しては当事者又は参加人が再審を請求できる。
- 第四十三条(再審の請求) 審判の請求人と被請求人が共謀し、第三者の権利又は利益を害する目的で審決を得た場合、その第三者は確定審決に対して再審を請求…
- 第四十四条(再審により回復した実用新案権の効力の制限) 無効にされた登録の権利が再審で回復しても、無効審決確定後から再審請求の登録前までに、善意で輸入し、又は国内で製造・取得し…
- 第四十五条(特許法の準用) 再審には特許法第173条を準用し、原則として審決確定後に再審理由を知った日から30日以内、かつ確定日から3年以内に請求す…
- 第四十七条(審決等に対する訴え) 審決及び審判・再審の請求書を却下する決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄となる。
- 第四十八条(対価の額についての訴え) 不実施、自己の考案の実施又は公共の利益のための通常実施権の裁定を受けた者は、裁定で定めた対価の額に不服があるとき、訴えで…
第七章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例
- 第四十八条の三(国際出願による実用新案登録出願) PCTの所定規定により国際出願日が認められ、日本を指定国に含む、実用新案登録のための国際出願は、その国際出願日にされた日…
- 第四十八条の四(外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文) 外国語の国際実用新案登録出願では、原則として優先日から2年6月以内に、国際出願日の明細書、請求の範囲、図面中の説明及び要…
- 第四十八条の五(書面の提出及び補正命令等) 国際実用新案登録出願の出願人は、国内書面提出期間内に、出願人・考案者の氏名等と国際出願番号等を記載した国内書面を提出する…
- 第四十八条の六(国際出願に係る願書、明細書等の効力等) 国際出願日の願書は、日本の実用新案登録出願の願書とみなされる。
- 第四十八条の七(図面の提出) 国際出願日に図面を含まなかった国際実用新案登録出願では、国内処理基準時の属する日までに図面を提出しなければならない。
- 第四十八条の八(補正の特例) PCT第19条・第34条による補正を国内の補正とみなす場合と、国内段階でPCT第28条・第41条により補正する場合は、通…
- 第四十八条の九(実用新案登録要件の特例) 拡大先願を定める第3条の2で、先の出願が国際実用新案登録出願又は国際特許出願である場合の特例である。
- 第四十八条の十(実用新案登録出願等に基づく優先権主張の特例) 国際実用新案登録出願で国内優先権を主張する場合は、第8条第1項ただし書の仮専用実施権者の承諾、第4項の主張書面、第9条第…
- 第四十八条の十一(出願の変更の特例) 国際特許出願を実用新案登録出願に変更するには、日本語出願では国内書面を、外国語出願では国内書面と所定の翻訳文を提出し、国…
- 第四十八条の十二(登録料の納付期限の特例) 国際実用新案登録出願の第1〜3年の登録料は、国際出願と同時ではなく、国内書面提出期間内に納めればよい。
- 第四十八条の十三(実用新案技術評価の請求の時期の制限) 国際実用新案登録出願の技術評価は、国内処理基準時を経過した後でなければ請求できない。
- 第四十八条の十三の二(訂正の特例) 外国語の国際実用新案登録出願について、第14条の2第1項の訂正をする場合の特例である。
- 第四十八条の十四(無効理由の特例) 外国語の国際実用新案登録出願では、国内法上の明細書・請求の範囲・図面に記載した事項が、国際出願日の原文の明細書・請求の範…
- 第四十八条の十五(特許法の準用) PCT第19条の日本語出願の補正と、第34条の日本語・外国語出願の補正に、特許法第184条の7及び第184条の8第1〜3…
- 第四十八条の十六(決定により実用新案登録出願とみなされる国際出願) 日本を指定する実用新案の国際出願について、受理官庁が出願日認定を拒否したり、取下げとみなす宣言をしたり、国際事務局が記録…
第八章 雑則
- 第四十九条(実用新案原簿への登録) 特許庁の実用新案原簿には、実用新案権の設定・移転・信託による変更・消滅・回復・処分制限、専用実施権の設定・保存・移転・変…
- 第五十条(実用新案登録証の交付) 特許庁長官は、設定登録、第14条の2第1項の減縮等の訂正、又は第17条の2の請求に基づく真の権利者への移転登録があったと…
- 第五十条の二(二以上の請求項に係る実用新案登録又は実用新案権についての特則) 複数の請求項を含む登録について、本条が列挙する規定を適用するときは、請求項ごとに登録・権利が存在するとみなす。
- 第五十一条(実用新案登録表示) 実用新案権者、専用実施権者又は通常実施権者は、登録実用新案に係る物品又は包装に、登録実用新案である旨の表示を付けるよう努…
- 第五十二条(虚偽表示の禁止) 誰でも、登録実用新案でない物品や包装に、登録表示又は紛らわしい表示を付けてはならない。
- 第五十三条(実用新案公報) 特許庁は実用新案公報を発行する。
- 第五十四条(手数料) 期間の延長・期日の変更、出願後の権利承継の届出、登録証の再交付、証明、謄抄本の交付、書類の閲覧・謄写、磁気記録された原簿…
- 第五十四条の二(手数料の返還) 第三者の技術評価請求が、第12条第7項により初めからされなかったものとみなされたときは、納付された評価手数料を返還する。
- 第五十五条(特許法の準用) 証明、謄抄本の交付、書類の閲覧・謄写等には特許法第186条を準用する。
第九章 罰則
- 第五十六条(侵害の罪) 実用新案権又は専用実施権を侵害した者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又は両方を科す。
- 第五十七条(詐欺の行為の罪) 詐欺の行為によって実用新案登録又は自己に有利な審決を得た者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
- 第五十八条(虚偽表示の罪) 第52条に違反して虚偽の実用新案登録表示や紛らわしい表示をした者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
- 第五十九条(偽証等の罪) 特許庁又はその嘱託を受けた裁判所において、法律により宣誓した証人・鑑定人・通訳人が虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、…
- 第六十条(秘密を漏らした罪) 特許庁の職員又は元職員が、職務上知った実用新案登録出願中の考案に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、1年以下の拘禁刑…
- 第六十条の二(秘密保持命令違反の罪) 第30条で準用する特許法第105条の4の秘密保持命令に違反した者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、…
- 第六十一条(両罰規定) 法人の代表者や、法人・個人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は個人の業務に関して所定の違反をした場合は、行為者…
- 第六十二条(過料) 特許庁又はその嘱託を受けた裁判所において、民事訴訟法第207条第1項により宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、10万…
- 第六十三条(過料) 特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼び出された者が、正当な理由なく出頭しない場合や、宣誓、陳述、証言、鑑定又は通訳を拒…
- 第六十四条(過料) 証拠調べ又は証拠保全に際し、特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から、証拠となる文書その他の物件又は電磁的記録の提出・提示を…