判例研究

知財判例の試験ポイント、判断基準と理由、事実への当てはめを解説します。

エレキギター事件|職権審理と不意打ちの防止

エレキギター事件では、最高裁が、商標の取消審判で当事者の申し立てない理由を職権で審理しても、そのことだけで審決は違法にならないと判断しました。また、意見申立ての機会を与える手続を欠いていても、不意打ちにならない事情があれば、審決を取り消すべき違法には当たりません。最高裁は原判決を破棄し、東京高裁へ差し戻しました。

FM信号復調装置事件|外国特許権と準拠法

FM信号復調装置事件では、最高裁が、外国特許権に基づく差止め・廃棄請求と、侵害を理由とする損害賠償請求を分けて準拠法を判断しました。米国法が準拠法となるとした一方、差止め等には旧法例33条の公序、損害賠償には同11条2項を適用し、いずれの請求も認めませんでした。カードリーダー事件とも呼ばれます。

人工乳首事件|実施例の追加と国内優先権の効果

人工乳首事件では、東京高裁が、後の出願で追加した実施例によって、請求項に係る発明の技術的事項が先の出願の開示を超える場合、その超えた部分には国内優先権の効果が及ばないと判断しました。請求項の文言が先の出願にあっても、それだけで優先権の効果は決まりません。裁判所は出願人の請求を棄却し、拒絶審決を維持しました。

レインステーション事件|通常実施権者の不争義務と訂正への承諾

レインステーション事件では、東京高裁が、通常実施権の設定契約を締結したことだけで、通常実施権者が当然に特許の有効性を争わない義務を負うわけではないとしました。本件契約から訂正審判への承諾義務も認めず、承諾を拒んだことを理由とする契約解除と、承諾を求める請求を退けました。

リガンド分子事件|専用実施権設定後の特許権者の差止請求権

リガンド分子事件では、最高裁が、専用実施権を設定した特許権者も、その特許権に基づく差止請求権を行使できると判断しました。特許権者が自ら発明を業として実施できるかと、第三者の侵害を差し止められるかは、別の問題です。最高裁は特許権者の差止請求権を認めた原審の判断を維持し、上告を棄却しました。

インクタンク事件|特許権の消尽と新たな製造

インクタンク事件は、適法に販売された特許製品を加工した場合に、消尽によって特許権の行使が制限される範囲を示した判例です。最高裁は、本件の洗浄・インク再充填などを総合的に検討し、元の製品と同一性を欠く特許製品の新たな製造に当たるとして、輸入販売等の差止めと廃棄を認めました。

発光ダイオード事件|特許異議における請求項ごとの訂正

発光ダイオード事件は、旧法の特許異議手続で、請求項の減縮を目的とする訂正の許否を請求項ごとに判断すべきとした判例です。最高裁は、別の請求項の訂正が不適法というだけで訂正全部を認めなかった処理を違法とし、請求項1についての特許取消決定を取り消しました。

プラバスタチン事件|PBPクレームの技術的範囲と明確性要件

プラバスタチン事件は、物の製造方法で物を特定するプロダクト・バイ・プロセス・クレームについて、最高裁が技術的範囲と明確性要件の判断基準を示した判例です。最高裁は、製造方法が異なるという理由で侵害を否定した原判決を破棄し、審理を知財高裁に差し戻しました。

フレッドペリー事件|商標法における並行輸入

フレッドペリー事件は、最高裁が真正商品の並行輸入の三要件を示した判例です。本件では、許諾範囲を逸脱した製造と品質管理の問題から、輸入販売を商標権侵害とした原審の判断が維持されました。

おろし器事件|外国公報掲載と新規性喪失の例外

おろし器事件は、外国の意匠公報への掲載について、当時の意匠法4条2項による新規性喪失の例外を認めなかった判例です。創作者の行為と公開に因果関係があっても、制度趣旨から救済対象が限定されました。