特許法 第十六条

手続をする能力がない場合の追認

条文本文

未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)がすることができる。

第2項 代理権がない者がした手続は、手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができる。

第3項 被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。

第4項 後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。

第16条の用語

「追認」:手続能力や代理権などに不備のあった手続を、追認する権限を持つ者が後から承認することです。本条の追認は、最初に行われた手続をその時点にさかのぼって有効にする効果を持ちます。

「未成年者」:18歳未満の者です。ただし、独立して法律行為をできる未成年者は第1項の対象から除かれます。例えば、営業を許された未成年者は、その営業に関する法律行為について、自ら手続をできます。一般の未成年者については、法定代理人の同意だけで本人が手続できるわけではありません。

「成年被後見人」:家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者です。特許法上の手続は法定代理人を通じて行う必要があり、本人だけでした手続は、追認によって不備を補う対象になります。

「法定代理人」:法令に基づいて本人を代理する者です。通常、未成年者では親権者又は未成年後見人、成年被後見人では成年後見人が当たります。本人の委任による代理人とは区別されます。

「被保佐人」:家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者です。原則として、本人が保佐人の同意を得て手続をします。その同意は、一連の手続に対して包括的に与えられるもので、個々の行為だけを選んで同意するものではありません。

「後見監督人」:後見人の事務を監督する者です。いる場合は、法定代理人が手続をする際に原則としてその同意が必要になります。未成年後見監督人は遺言で指定される場合があり、後見監督人は家庭裁判所が選任する場合もあります。

「保佐人の同意」「後見監督人の同意」:被保佐人又は法定代理人が手続をする際に原則として必要となる同意です。ただし、本人の特許権に対する特許異議の申立て、又は相手方が請求した審判・再審への対応では、第7条第4項によりこれらの同意は不要です。同意を必要としない手続について、同意を得なかったことを理由に追認を求めるものではありません。